米国株で運用する投資信託に投資するリスクのイメージ
外国株などを投資対象とする投資信託では、ドルやユーロなどの外貨を通じて運用するのが一般的です。それゆえ海外に投資する投資信託の場合は、為替レートの変動によって投資収益が変化します。個別の株式の値動きのほかに、為替レートの変動を含めて投資損益が決まる点に注意して下さい。
海外の株式などで運用する投資信託には、為替ヘッジ「あり」「なし」の選択が可能な2つのコースが用意されていることがあります。為替ヘッジとは、外貨建て資産に投資するときに、為替レートの変動によるリスクを回避する方法のことを指します。為替ヘッジでは、為替予約という手法を使うのが一般的です。為替予約とは、あらかじめ両替の数量と価格および実行日を決めて置き、実行日に両替する契約のことです。為替予約している期間は投資対象国の外貨を借りて、円で運用することになります。
為替ヘッジコストのイメージ
借りた外貨の支払い金利と比較して、受け取る金利が少ない場合は、為替のヘッジコストを支払う必要があります。為替のヘッジコストは、短期金利の差により変化する点がポイントとなります。為替ヘッジを行う際のコストは、日本と投資対象国との短期金利差によって決まります。
為替予約のレートの決まり方
上記の事例に基づいて、為替予約レートを計算すると、
145円36銭÷1.054ドル=約137.91円/米ドルとなります。
つまり、現在の145円よりも円高の約137.91円が1年後の為替予約の決済レートとなります。
現在の米国など日本よりも、短期金利の高い通貨に為替ヘッジをする場合は、日米の金利差分をヘッジコストとして支払います。
反対に日本の短期金利を下回る国の通貨に為替ヘッジする場合は、その差分を収益として受け取ることになります。
現在の日本円は他国の通貨よりも低金利のケースが多く、為替ヘッジ「あり」の場合は、ヘッジコストが発生することになります。
為替ヘッジを行う期間が、長期にわたるとヘッジコストが積み上がってしまい、運用成果が抑えられる可能性があります。ヘッジコストは投資信託の信託財産から差し引かれるため、ヘッジコストが高くなると基準価格にマイナスの影響を与えます。
海外の株式等に投資する場合の、為替ヘッジ「あり」「なし」の選択は、資産形成の投資期間によって変わると考えます。
長期積立投資で資産形成を行う場合は
資産形成で長期の保有が前提の、長期積立で分散投資する場合は、為替ヘッジ「なし」を選択したいと思います。
理由の1つ目は、長期の積立投資で投資タイミングを分散することにより、同時に為替の投資タイミングも分散されます。長期の積立投資を行うことで、為替の投資タイミングも同時に分散されて、為替リスクを軽減する効果があると思われます。投資対象を海外株式とその国の通貨の両者と考えて、長期の積立投資で投資時期を分散させてリスクを軽減します。
理由の2つ目は、長期の運用では運用コストを低減させるのが基本だからです。現状では為替予約では高金利の外貨を借りて、低金利の円で運用することになります。支払う金利に対して受け取る金利が少ない分を、為替ヘッジコストとして支払う必要があります。
海外へ投資する投資信託の信託財産から、為替ヘッジコストを負担するために、運用収益を押し下げる要因になります。
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