何に投資したらよいかと迷う場合は
「どのような金融商品に投資したらよいのでしょうか?」という質問を受けることがあります。何に投資したらよいかと迷う場合は、新NISAの税制優遇制度の対象である投資信託を活用することを考えて下さい。新NISAでは、長期の積立、分散投資に適した一定の株式投資信託が投資対象となっています。長期投資、積立投資、分散投資という投資スタイルを理解して下さい。
多種多様な投資信託で何を活用したらよいかと迷う場合は、株式インデックス型投資信託の中から選択したらよいと思います。
投資信託とは
(出典)一般社団法人 投資信託協会「そもそも投資信託とは?」より著者作成
投資信託は、投資家から集めたお金を一つの大きな資金としてまとめて、運用の専門家が世界の株式や債券などで運用します。運用成果が、投資家それぞれの投資額に応じて、分配される仕組みの金融商品です。集めた資金をどのような対象に投資するかは、投資信託ごとの運用方針に基づき運用会社の専門家に委ねます。
投資信託の運用成績は市場環境などによって変動します。投資信託購入後に、運用がうまくいっ て利益が得られることもあれば、運用がうまくいかず投資した額を下回って、損をすることもあ ります。投資信託の運用によって生じた損益は、それぞれの投資額に応じて投資家に帰属します。
投資信託の魅力とは
① 少ない金額から購入できる
株式投資には、ある程度まとまった資金が、必要となる場合があります。投資信託を活用し、毎月などに決まった金額で買付ける積立投資なら、1,000円などといった少額の金額で購入できます。
② 分散投資する
投資信託は、ファンドマネージャーにお金を預けて、その運用を任せる仕組みです。様々な種類の資産を選択して自分で投資を行わなくても、購入した投資信託のファンドマネージャーを通じて、資産および銘柄を分散させることが可能です。
投資の基本は、資金を一つの金融商品にまとめて投資せず、値動きの異なる様々な資産に分けて投資することです。値動きの異なる様々な資産に、分散して投資することで、リスクも分散し安定性が増します。投資信託は、このような分散投資の考え方から生まれた金融商品です。
③ 専門家が運用する
個人では、株式などの投資対象に関する幅広い情報を得ること、あるいは投資手法を身に付けることは難しいといえます。投資信託は、経済あるいは金融などに関する高度な知識を身に付けた、運用会社ごとの専門家が運用します。
運用会社ではグローバルな観点から、データを収集・分析し、運用のノウハウを駆使しながら信託銀行に対して運用の指図をします。
投資信託の仕組みとは
(出典)一般社団法人 投資信託協会「投資信託の仕組み」より著者作成
投資信託は運用会社で設定され、証券会社および銀行などの販売会社を通じて販売され、投資家からお金を集めます。投資家から集めたお金はひとつにまとめられ、資産管理および運用を専門とする信託銀行に保管されます。運用会社は集めたお金をどのように投資するのか検討し、その投資の実行を、お金を管理する信託銀行に指図します。このことを運用指図といい、運用会社がその権限を持っています。信託銀行は運用会社の指図を受けて、株や債券の売買を行います。投資信託は、販売会社、運用会社、信託銀行といった各機関がそれぞれの役割を果たすことで 成り立つ金融商品です。
現在のところ投資信託は、投資家、販売会社、運用会社、信託銀行からなる「契約型」が主流です。
投資信託の仕組み上の安全性とは
投資信託の仕組み上、投資信託にたずさわる各機関が仮に破たんしたとしても投資信託は、投資額にかかわらず制度的に守られます。
仮に、各機関が破たんしてしまった場合の、投資した資産の安全性について説明します。
● 販売会社が破たんした場合
販売会社は投資信託の取引をする際に窓口となり、投資家とお金のやりとりを行います。投資資金は販売会社を経由して、信託銀行が信託財産として管理しています。販売会社が破たんしたとしても、信託財産に影響はありません。保有し ていた投資信託は、別の販売会社に移管され、移管先の販売会社で引き続き取引をすることができます。
● 運用会社が破たんした場合
運用会社は運用指図を行うだけで、信託財産の保管や管理は行っていません。 運用会社が破たんしたとしても、信託財産は運用会社とは別の機関である信託銀行に保管されているので、信託財産に直接的な影響はありません。運用していた投資信託は、他の運用会社に運用が引き継がれるか、繰上償還されることになります。
● 信託銀行が破たんした場合
投資信託の信託財産は信託銀行が管理しています。信託財産は信託銀行が自行の財産とは区分して、分別管理することが法律で義務づけられています。 信託銀行が破たんしたとしても、信託財産に影響はありません。投資信託は、破たん時の基準価額で解約されるか、又は他の信託銀行に信託財産が移管されれば、そのまま投資信託を保有できます。
投資信託にかかる費用とは
投資信託を購入・保有・解約を行う際に、どのような費用がかかるのでしょうか。投資信託を取引する際に、投資家が負担する費用については、投資信託説明書(交付目論見書)で確認することができます。
●購入時手数料
新NISAのつみたて投資枠の投資対象となっている、投資信託の購入時手数料は基本的に無料(ノーロード)となっています。
●運用管理費用(信託報酬)
運用期間中は信託財産から間接的に、運用管理費用(信託報酬)が差し引かれます。運用管理にかかる費用などをまかなうもので、運用会社・販売会社・信託銀行の3者で配分されます。
新NISAのつみたて投資枠の投資対象となっている、投資信託の保有期間中に支払う信託報酬は、一定水準以下に限定されています。新NISAの指定インデックス投資信託の信託報酬は、国内資産対象が年0.5%以下、海外資産対象が年0.75%以下と定められています。
●監査報酬
原則決算ごとに、監査法人などから監査を受ける必要があり、その監査に要する費用で、信託財産から間接的に支払われます。
投資信託が投資する株式などを売買する際に発生する費用です。発生の都度、信託財産から間接的に支払われます。運用の結果発生する費用ですので、事前にいくらかかるのか示すことはできません。
●信託財産留保額
追加設定したり、途中に換金したりする場合に、ファンドの運用の安定性を保つために信託財産に留保されます。長期に保有する投資家との公平性を確保する目的と、短期間での換金を抑制する目的もあります。
新NISAのつみたて投資枠の投資対象となっている投資信託には、基本的に信託財産留保額はありません。
購入および換金について
●投資信託はどこで購入するのか
証券会社、銀行、保険会社、信用金庫などの販売会社で購入できます。また運用会社が直接販 売しているところもあります。 購入の申込みは各販売会社の店頭だけでなく、販売会社によっては電話やインターネットで も受け付けています。
● 販売会社によって取扱商品に違いがあるのか
販売会社によって取扱商品が異なります。 同じ投資信託を複数の販売会社で取り扱っている場合もありますし、特定の販売会社だけで取り扱っている場合もあります。
● 購入の手続きについて
NISAで初めて投資信託を購入する場合は、口座開設が必要です。口座開設の際は、マイナンバーカード などのマイナンバー確認書類と本人確認書類が必要です。 販売会社の中には、店頭では現金の受渡しを一切行わず、銀行など金融機関での振り込 みで決済する会社もあります。この場合、取引している金融機関の取引口座番号と印鑑が必要です。 購入代金の支払いは、申込み時に支払う方法と後日支払う方法があり、販売会社や投資信託によって異なります。インターネット証券などの場合は、取引口座の現金残高の範囲内での購入申込みとなりますので、あらかじめ購入代金を取引口座に入金しておく必要があります。
● 取引が成立したときの報告について
投資信託の取引が成立した場合に、販売会社は「取引報告書」を投資家に送付することになっ ています。
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