資産形成とは、適切な家計管理に取り組んで貯蓄を増やすとともに、その貯蓄の中から分散投資で積み立て投資を継続することです。
家計管理とは
家計管理の基本は、収入と支出を目的ごとに把握して管理し、収入から支出を差し引いた収支を黒字にすることです。手持ちのお金に使える余裕があると、ついつい使ってしまって、上手に貯蓄できないということがあります。
毎月の給料日に一定の金額を自動で貯蓄用の口座に移すなど、先に計画的に差し引くことがポイントです。「給与天引き」や「自動引き落とし」による、仕組み化をはかることが考えられます。計画的に先に預金や投資に回し、残りのお金の範囲内で消費支出をやりくりしましょう。
ライフプランニングとは?
人生の希望や計画を具体的に描くことを、ライフプランニングといいます。現在は働き方、家族構成、住まいなど、それぞれの価値観によって異なる選択肢があります。
ライフプランニングする時に、同時にどのくらいお金がかかるのか、それが必要となる時期についても考えてみます。希望するライフイベントを考える時、同時に優先順位を付けます。ライフイベントの優先順位に従って、希望するライフイベントであっても取捨選択をはかることが必要となる場合もあります。
資産形成を行う上で、知っておきたいことは?
少子化に伴う人口減社会の中で長寿化が進み、個人のライフスタイルは多様化しています。お金が必要なタイミングや、その必要とする金額も、人それぞれで大きく異なります。人生100年時代、自らのライフスタイルに合わせて、ゆとりある暮らしをいとなむための資産形成が求められています。そのためには、自らの家計を長期的視点で管理し、生きがいを感じることができる生活設計を考えます。
個人が自らの職業を土台にして、ライフスタイルに沿った経済的リスクを認識することで、資産形成の必要性を把握できます。
貯蓄と投資の違いとは
自分の希望するライフプランを実現するためには、長期的視点で資産形成を考えていくことが重要です。実際にお金を準備していく資産形成には、貯蓄と投資の2つの方法があります。貯蓄とはお金を貯めて蓄えること、投資とは将来に向けて増やしていくために金融商品に資金を投じることです。そのときの資産状況や今後のライフプランに適した形で、貯蓄と投資を使い分けることが、資産形成を進めていくうえで大切です。
新NISAを、どう活用するのか
ライフイベントに対応する資金に余裕がないという方は、引き出し期間に制限のない新NISAで積立投資から始めます。積立投資でコツコツ積み上げた資産は、様々なライフイベントに対応できます。
子供の教育にかかる費用などの、必ず必要な支出が落ち着いてきたら、そこから老後資金作りを始めることも考えられます。家族にかかる支出に余裕ができたら、個人年金の積立であるイデコ(個人型確定拠出年金)を併用することが考えられます。
資産形成に取り組むにあたって、年齢、職業、収入、資産、家族構成などの自らの属性に沿って最適な投資スタイルを発見します。一般的に考えられる就職、結婚、育児、住宅、介護などのライフイベントの内容も一律なものではありません。新NISAはそれぞれのライフイベントに合わせて柔軟に使えるため、20代~30代の方にとって自由度が高いと考えられます。運用期間をより長期に確保できる若年層の方にとっては、国際分散投資で積み立てるのが基本戦略になります。
実際の投資リターンは、投資時期によりぶれる可能性がありますが、投資期間が長くなるほどリターンのぶれ幅は小さくなります。投資期間を長くすることで、運用成績の悪い時期と良い時期がならされ、1年あたりの平均的な収益率は安定する傾向があります。長期投資の効果を生かすためには、株式市場が下落した時期に投資をやめない姿勢が求められます。
毎月決まった金額を積立投資している場合は、市場価格が下がると購入できる投資信託の数量が増えるメリットを享受できます。運用コストを低く、長期積立で分散投資し、運用益を再投資し複利効果を発揮することが、最善の投資スタイルと考えられます。
積立金額と運用成果についてのシミュレーション
(出典)金融庁ホームページ「資産運用シミュレーション」で作成。https://www.fsa.go.jp/policy/nisa2/moneyplan_sim/index.html
グラフは年率3%の収益と仮定し、年1回の複利計算で毎月5万円を30年間にわたり積み立てたシミュレーションの結果です。30年間積み立てたシミュレーションでは、元本部分は1800万円、運用収益は1113.7万円、合計の保有資産は2913.7万円となりました。
前提として、すべての人にとって、これ一本に投資すべきという金融商品はありません。あらゆる人に当てはまる「この投資対象が1番であり、他ではない」ということはありません。その方の職業によって、あるいは自らのライフスタイルによって取るべき経済的リスクは人それぞれで異なると考えられます。それぞれ独自のライフスタイルがあるという前提で考えると、リスク許容度は各人各様であると考えられます。リスク許容度とは投資家にとって許容できる損失の範囲のことをいいます。資産運用に伴い発生する損失をどれくらいまでなら、投資の損失として受け入れられるかを示すものです。
自らの投資目標やリスク許容度を基本にして、リスク資産のポートフォリオを組み上げることになるのではないでしょうか。新NISAで、資産形成に取り組むのにあたって、自分の年齢、職業、収入・資産、家族構成などの自らの属性に沿って最適な投資スタイルを発見します。一般的に考えられる就職、結婚、育児、介護などのライフステージごとのライフイベントの内容も各人各様で一律なものではありません。新NISAはそれぞれのライフイベントに合わせて柔軟に使えるため、20代~30代の方にとって自由度が高いと考えられます。
運用期間をより長期に確保できる若年層の方にとっては、国際分散投資で積み立てるのが基本戦略になります。実際の投資リターンは、投資時期によりぶれる可能性がありますが、投資期間が長くなるほどリターンのぶれ幅は小さくなります。投資期間を長くすることで、運用成績の悪い時期と良い時期がならされ、1年あたりの平均的な収益率は安定する傾向があります。
長期投資の効果を生かすためには、株式市場が下落している時期に、積立投資をやめない姿勢が求められます。毎月決まった金額を積立投資している場合は、市場価格が下がると購入できる投資信託の数量が増えるメリットを享受できます。
運用コストを低く、長期積立で分散投資し、運用益を再投資して複利効果を発揮することが、最善の投資スタイルと考えられます。投資信託の保有中にかかるコストである信託報酬は、株式指数連動型のインデックスファンドが圧倒的に低くなっています。運用コストである手数料は、購入時、保有期間中、売却時の3つのタイミングで発生します。20年30年と長期に投資する場合に、保有期間中に発生する信託報酬などのコストの高さは運用成績に大きな差をもたらします。
投資信託で、為替ヘッジ「あり」「なし」の選択について
海外に投資する投資信託の場合は、為替レートの変動によって投資収益が変化します。為替レートの変動を含めて投資損益が決まる点がポイントです。為替ヘッジ「あり」「なし」の選択は、運用する資産の状況、運用期間によって変わるのではないかと考えます。
長期の保有が前提の、長期積立の基で分散投資する場合は為替ヘッジ「なし」を選択したいと思います。理由の一つは、長期の運用では運用コストを低減させるのが基本だからです。為替ヘッジは為替予約という手法を使うのが一般的です。現状では為替予約では高金利の外貨を借りて、低金利の円で運用することになります。支払う金利に対して受け取る金利が少ない分を、コストとして支払う必要があります。為替のヘッジコストは短期金利の差により、変化する点がポイントとなります。海外へ投資する投資信託では運用資産からコスト分を負担するために、運用収益を押し下げる要因になっています。
いったん取り崩した後にも、非課税投資枠を復活できます
30代~40代では、結婚、出産、育児、住宅の購入など様々なライフイベントがあります。ライフイベントの実現などの目的で、保有資産を売却してお金を使う場合もあるでしょう。積立資産の一部を取り崩して子供の進学資金に充てることも、住宅購入資金に充てることもできます。
新NISAでは積み立てた保有資産を売却しても、翌年から非課税投資枠が復活して使えます。保有資産を一度取り崩した後も次のライフイベントに向けて、資産形成を再開できる柔軟な活用が可能となりました。
Comments